計算の根拠
クレアチンは、筋肉の中で短く強い力を出すときのエネルギーの再生に使われる物質で、肉や魚にも含まれています。ふつうの食事(1日1〜2g程度)では筋肉のクレアチンは60〜80%ほどしか満たされておらず、サプリメントで補うと筋肉のクレアチンが20〜40%増えるとされています[1]。
- ローディングなし:1日3〜5gを毎日。3〜4週間かけて筋肉のクレアチンが増えます[1][2]。1日3gを28日続けると、ローディングと同じくらいまで増えたという研究があります[3]。
- ローディングあり:体重1kgあたり約0.3g(多くの人で1日約20g)を4回に分けて5〜7日、そのあと1日3〜5gで維持します。もっとも早く筋肉のクレアチンを増やせる方法とされています[1]。
- 維持量:1日3〜5g。体の大きい選手では1日5〜10gが必要な場合もあるという研究があります[1]。体重あたりで1日0.1g/kgという目安も示されています[2]。
やめた場合、増えた筋肉のクレアチンは4〜6週間ほどでもとに戻るとされています[1]。
ローディングは必要?
必須ではありません。ISSN(国際スポーツ栄養学会)の専門家によるまとめでは、ローディングをしなくても、1日3〜5gで筋肉のクレアチン、筋量、パフォーマンスや回復への効果が研究で報告されているとされています[2]。早く筋肉のクレアチンを増やしたい場合はローディング、急がないならローディングなし、という使い分けが紹介されています。ローディング中は1回に大量に飲むとお腹がゆるくなる人もいるので、4回ほどに分けます。
いつ飲む?何と飲む?
クレアチンは毎日続けて筋肉にためることが大事で、飲む時間の差は大きくないと考えられています。炭水化物や、炭水化物とたんぱく質と一緒にとると、体に残るクレアチンが増えやすいという報告があります[1]。筋トレの前・中・後のどれがよいかを比べた研究は、今週の論文(クレアチンのタイミング)で紹介しています。
よくある疑問
体重が増えるのはなぜ?
研究で一貫して報告されている副作用は体重の増加だけで[1]、ローディングの初期に0.5〜1Lほど水分が体にたまることが主な原因とされています[1]。主に筋肉の細胞の中の水分で、長期的には筋肉の量に比べて体の水分は変わらないという研究もあります[2]。脂肪が増えるためではないとまとめられています[2]。減量中は、飲み始めの体重の増え方を脂肪と勘違いしないようにしましょう(減量の停滞期)。
ハゲる(薄毛になる)って本当?
この話は、ラグビー選手でDHT(男性ホルモンの一種)の血中濃度が上がったという2009年の1つの研究がもとになっています[4]。この研究では髪の毛そのものは調べておらず、DHTも正常の範囲内でした。専門家のまとめでは、今ある研究からはクレアチンが男性ホルモンを増やしたり薄毛を起こしたりするとは示されていないとされています[2]。ただし、髪の毛への影響を直接調べた研究は多くありません。気になる人は医師に相談してください。
腎臓に悪い?
健康な人が推奨量を飲んだ研究では、腎機能への悪影響は報告されていないとまとめられています[2]。ただし、これは誰にとっても安全だと保証するものではありません。持病(特に腎臓の病気)のある人、薬を飲んでいる人、不安な人は、飲む前に医師に相談してください。なお、クレアチンを飲むと血液検査の「クレアチニン」の値が上がることがあるので、健康診断の前には医師に伝えておくと安心です。
どの種類を選べばいい?
いろいろな形のクレアチンが売られていますが、研究の多くは「クレアチンモノハイドレート」で行われていて、専門家のまとめではこれがすすめられています[2]。高い特殊なタイプを選ぶ必要はありません。
注意
健康な成人向けの一般的な情報です。クレアチンを「安全」と言い切ることはできません。持病(特に腎臓の病気)のある人、薬を飲んでいる人、妊娠・授乳中の人、10代の人、不安な人は、飲む前に医師に相談してください。クレアチンは脂肪を減らしたり、飲むだけで筋肉をつけたりするものではなく、研究で報告されている効果も筋トレを続けることが前提です。
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出典
- [1] Kreider RB, Kalman DS, Antonio J, et al. International Society of Sports Nutrition position stand: safety and efficacy of creatine supplementation in exercise, sport, and medicine. J Int Soc Sports Nutr. 2017;14:18. doi:10.1186/s12970-017-0173-z
- [2] Antonio J, Candow DG, Forbes SC, et al. Common questions and misconceptions about creatine supplementation: what does the scientific evidence really show? J Int Soc Sports Nutr. 2021;18:13. doi:10.1186/s12970-021-00412-w
- [3] Hultman E, Söderlund K, Timmons JA, Cederblad G, Greenhaff PL. Muscle creatine loading in men. J Appl Physiol. 1996;81(1):232-237. doi:10.1152/jappl.1996.81.1.232
- [4] van der Merwe J, Brooks NE, Myburgh KH. Three weeks of creatine monohydrate supplementation affects dihydrotestosterone to testosterone ratio in college-aged rugby players. Clin J Sport Med. 2009;19(5):399-404. doi:10.1097/JSM.0b013e3181b8b52f